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4ストロークディーゼルの低オイル仕様   2005年 7月
 模型エンジン世界に広まりつつある4ストディーゼルですが、出力不足と排気オイル汚れの問題があります。今年になってこの問題の改善方法が見つかりました。それは滝沢研究員のエンジン、OS-FS48のピストンを改良中に発見されました。

1 ENYA60-4C の運転。350rpm向上した。
 すなわち、ピストンクリアランスを極限まで小さくする研究中に、ブローバイ潤滑不良を防ぐ目的で排気に含まれる未燃焼オイルをクランクケースへ導入する仕掛けを考案しました。

 機構自体はごく簡便なもので、写真1にあるようにマフラーからプレッシャーを取り出してクランクケース内部に圧力をかけるというものです。クランクケース内部はピストンのポンプ運動で、プラスとマイナスの圧力変化が交互に起きていますから、単純にパイプを繋いだだけではオイルは流入しません。そこで途中に逆止弁を入れてクランクケースからの圧がもれないようにします。写真1のエンジン側二ップルの内部にはボールチェックヴァルヴが仕込まれています。

 運転してみるとニードルは絞り気味になり回転も200rpm以上向上しました。滝沢機の最初の飛行では通常燃料を使うとオーヴァ−クールでエンストしました。そこで連結パイプの内径を細めてマフラー圧を少なくしました。次にオイル分を10%以下にした燃料に変えるとパワーが向上し、排気の汚れもグローエンジン程度に改善されました。

 その後、他のエンジンにも導入したところいずれもよい結果を示しています。その理由は単に潤滑の問題だけでなく、ケース内部の圧力がピストンのブローバイ潤滑をシールするような効果があってエンジン全体の性能を上げていると推定されます。当然、細かい設定を詰めていけば一番いい所があると思われます。また、通常のブリザーブ二ップルからのオイル排出がないためケース内部がオイルで溢れそうに思われ、初めは過剰圧力を心配して別にブリザーブ二ップルを設けていましたが、それでは性能が上がらず、現実にはフロントエンドから適当に排出されるようで、過剰オイルがコンロッド運動などのドラッグ(抗力)になることはなさそうです。
 燃料中のオイル分量についてはエンジンの状態によるので一概には言えません。ピストンクリアランスが小さければ低オイル燃料は効果的ですし、クリアランスが大きい場合でも通常燃料使用による出力向上と燃費の改善が認められました。
2 エンジンとマフラーの途中に逆止弁を入れた例。 3 コンパクトに作られた逆止弁二種。
4 FS-48に設置された逆止弁二ップル。チューブは耐熱性のヴァイトン。 5 FS-26の裏蓋。通常のブリザーブ二ップルは閉鎖されている。


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