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UAV 研究2 2004年 4月
 ディーゼルに改造したOSMAX-H80を搭載して飛行しました。目的はプロペラの選定と回転数による燃費の推定です。グロー運転の時はグラウプナー14ー11(実測ピッチは10)を7000rpm回していましたが、ディーゼル化するときにピストンのデフレクターを取り去った横断掃気に改造したためか、回転が出なくなりました。模航研特製の超推力型加圧積層材削り出しペラ16ー12を最高4500rpmでした。5000rpmまで回るかと期待してましたが、これが、設計、品質による限界のようです。このぐらい大きいディーゼルですと始動性がとても良く、正立マウントでもチョークだけで掛かります。ただ、鉄ピストン-シリンダー、マフラー付なので運転後に錆が発生しやすく、飛行後ただちにマフラーを取り外してマシン油を注入し、マフラーをはずしたまま保存しなければなりません。

 飛行は18ー7と16ー12を比べました。どちらも最大(離昇)4500rpmです。本機は翼型がフラットボトムの、いわゆるクラークYもどきですから相当ゆっくり飛ぶこことができます。
18ー7を使うと加速が悪く離陸に時間がかかり、機速も遅く、明らかに風に弱くなりました。見た感じ10m/sec程度の速度ですから数メートルの風でも飛ばしにくくなります。逆に、スローにするといきなりブレーキがかかり、ランディングアプローチが届かなくなりました。
 16ー12(ピッチは正しく12ある)超推力型ペラではすみやかに加速して、およそ60%の滑走距離で離陸しました。フルスロットルでは小型機のような操舵性となり、気持ち良く操縦できました。上空の推定回転数は3800rpmで推定巡行速度64km/hとなり、グロー運転でグラウプナ−14-11を回していた時の中速飛行より速く感じられました。エレベータートリムをアップセットにすると低速飛行ができました。2300rpmぐらいでも水平飛行や緩旋回ができます。この場合はエンジン自体の燃費はともかく、速度が遅すぎて航続距離は延びません。ディーゼルに改造すると運転時間の割りに燃料が減りませんが、正確な燃費はまだ算出できません。

飛行後。プロペラは16-12。

飛行後。18-7プロペラは中国の標的曳航機のもの。

模航研、超推力型積層材削り出しペラ16-12。


UAV 研究    2004年 2月
 UAVとはUnmanned Aerial Vehiclesの略で、いわゆる無人航空機の総称です。主に軍事目的に開発され、将来の戦場における主力武器になると見られています。

 他方、気象観測や地表探査、空中撮影などに用いられる民生用のものはまだまだ稀少品の域を出ません。今日では、GPSシステムを利用した航法装置や電子式自動操縦装置が小型化されているのでラジコン模型を自律飛行型UAVに転用することも可能になりました。模航研ではこうした需要に対応するために基礎的な性能評価試験を始めています。
 現在のラジコン航空機でも十分に実用的なのですが、長時間の飛行性能と高空性能がまだ足りません。模航研では、以前に霧ヶ峰での長時間飛行に使われた機体を入手してテストしています。
 この機体は翼幅1,87m、翼面積56dm2,自重3,3kg、エンジンはOS80-13cc二ストロークで、搭載荷重は最大2kgです。翼型がクラークYタイプなので巡航時の速度が遅く、長い距離は飛べません。推定性能として、燃料を1リットル積んだ場合、グロー運転で約1時間、ディーゼル運転で約3時間ですから、最大150km程度の航続距離です。
 不整地での回収を目的にパラシュート降下試験をしました。臨時にパラシュートを背中に載せて上空で開けるように改修しました。この位置にむき出しで搭載すると、空気抵抗が増大して、著しく性能低下することが分かりました。パラシュートは30mぐらいの高度で開かせますが、実際にやって見ると降下位置を正確に合わせることが出来ない上、パラシュート装備の整備性や性能低下があるので、機体そのものにSTOL性能を持たせる方が実用的ではないかと思いました。

知野さんが昔作った機体を改装した

手投げ発進試験
パラシュートの搭載状況

パラシュート降下回収試験


滞空試験        2005年 10月 17日
 東京から来られた研究者の立ち会いのもとに長時間連続飛行試験を行いました。
 エンジンはENYA60-4C模航研ディーゼルで、オリジナルのGキャブに代えて対向ニードルのスロー絞り型を使い、エンジンもボアアップしてあります。

 燃料タンクは約500ccの容量があり、満タン離昇時の重量は4300gでした。飛行時間は2時間25分で消費燃料は460ccでした。飛行後に再びエンジンを回して静止推力を計ると2.5kgありました。15-12ペラを最高5200rpm回しますから結構な値です。長時間なので3人で交代しながら操縦しました。

1 機首部、燃料タンクは自作のチキンホッパー型。
2 操縦する桑原氏。 3 自律飛行コンピューター搭載の電動試験機を整備する船木助教授と西岡研究員。
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模航研  長野県小諸市大字諸308-1