トップページヘ

模航研 航研機プロジェクト 1

 模型航空研究所設立目的のひとつに航研機の模型製作がある。実機航研機は我が国唯一の世界記録保持機(当時)で航空技術文化という観点から見ると、アメリカに保存されているライトフライヤーやイタリアに保存されているマッキMC72に匹敵する歴史的な記念品である。実機が消えてから半世紀になろうとする昨今になってやっと復活の動きが出はじめている。
 航研機のかけがいのない価値に気付いた人たちが、各々の立場で再現のための努力をされておられることは大変喜ばしい。現在九州で製作されている実物大模型はもうすぐ完成して、青森県三沢市に建設中の航空科学館(仮称)に展示される予定であるし、また、久しい以前から日野自動車21センターには五分の一模型が展示されている。しかし、これらはいわゆる展示模型で実際に飛ぶ事は無い。普通の博物館の責任者はそれで十分と考えるかも知れないが、飛行機好きにとってはもちろん、そうではない子連れの家族来館者にとっても、たぶん、展示してある飛行機が本当に飛ぶことの方が、実機、模型におかまいなく楽しめるのではなかろうか。

 古崎がこう思うのには、わけがある。あるとき地元テレビ局の番組のためにラジコン機を飛ばした事があった。女子アナを含む数人のクルーとほぼ一日ロケにつきあったのであるが、はじめは大きなおもちゃでも見ているような反応であった彼等の態度が、取材が終わってみると、模型を尊敬するように変わっていたのだから。
 
 要するに、実機によく似た雰囲気での飛行を演出できれば、ギャラリーは1938年の興奮を楽しめるのである。
 模航研では飛行機部の他に発動機部もあるので時間をかければスケールモデルエンジンの製作も夢では無い。スパン4m程度の七分の一スケール、エンジンは水冷12気筒120cc、ぐらいになるだろう。古崎のライフワークとして取り組みたい。
 
 現在、手始めに二十分の一サイズの空力模型を作っている。これはバルサ製の普通のラジコン機だが、翼型やプロペラ形状など可能な限り実機に似せている。重さ800gぐらいで仕上がるのでおそらくモーターグライダーの性能だろう。

 写真は生地完成状態の1/20航研機空力模型で、ラジエーターはまだついてない。プロペラはオリジナルの木製品でサイズは直径200mmピッチ180mm。また、試作した1/10のものも示す。エンジンはENYA049をディーゼルに直し、直列二気筒に改造して使う。写真はその部品で、それぞれのシリンダーをストックエンジンでテストして選んだ。ディーゼルにすると7-4サイズのプロプロペラを最大9000rpm回すので、ただ飛ばすだけならこれで十分なのだが、スケールぺラを回すために、トルクアップの必要から二気筒にするわけだ。こうすればカウルの中に収めることもできる。エンジンの気筒がとび出したスケール機は粋でないからね。


>>戻る

模航研  長野県小諸市大字諸308-1