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 シングルスティック送信機 2004年 6月 古崎仁一
シングルスティック送信機とプロムナード号。
 大阪の岡野さんがエースRCのシングルスティック送信機を貸してくれましたので、久しぶりにシングルスティック方式で飛ばしました。機体は前にラジコン技術誌に発表した.13DRC付きの「プロムナード」号です。

 現在ほとんど使う人がいないシングルスティック送信機ですが、岡野さんはこれを愛好されているということで、それをお借りできました。
 今では日本型モード1方式が定着していてシングルスティック送信機の利点はないと考えられていますが、昔、この送信機を話題にした記事がモデルジャーナル誌にあったので紹介します。
 
  それは「涙のワンスティック送信機」と題された入門者の記事で、ある読者が初めて飛ばすラジコン機にワンスティック送信機を選んだため、いつまでたっても飛行機をまともに飛ばすことができず、当時有名だった武蔵野模型飛行機研究所の館林重雄氏に誌上相談すると言った内容です。
シングルスティック送信機の記事がある
モデルジャーナル1976年7月と9月号。
 これは二号に渡るかなり長い記事です。館林氏の回答は実機と同様な操縦法で模型を飛ばす方が自然であると言った持論を述べていますが、実際のやり方はあまり書かれておらず、あるのは助手の島崎氏が飛ばした様子を見ていてレポートしたことぐらいです。結論として、ワンスティックだろうがツースティックだろが、飛行機がちゃんと調整されていれば関係ないといったようなことでした。 もう30年ぐらい前の話ですが、その当時すでにシングルスティック送信機はマイナーな存在でした。その後1987年にオーストラリアで、アメリカ人がこれでパイロン機を飛ばすのを見て、いつか自分もやってみたいと思ったものでした。 プロムナード号はシングルスティック送信機の練習用に設計されていますから、操縦するのは容易です。それでも不馴れなので緊張しました。今回はエレベータートリムの調整に少しまごつきましたが、エルロン操作ができていました。模型ではロールレイトが実機よりよほど小さいので、かなり遅い機体でも素早い操舵が求められます。シングルスティックのラダーつまみをしっかり握ってしまうとエルロン操作が遅れますから、どうしても軽く触れるようになり、この時点で実機とは異なってしまいます。緩旋回なら実機の操縦桿のように傾けながらアップ操作できますが、通常模型が行っている旋回ではエルロンの利き遅れが目立ってしまいます。また、急旋回させるためにはラダーを同時に当てなければなりませんが、この操作は二スティック方式よりスムースにできました。実際の飛行場は空域が狭く操舵にかけられる時間がごく短いので。急旋回せざるをえません。
シングルスティック送信機を操縦する様子1。
 エルロン操舵では、親指を振る動作より手首全体を振る動作の方が遅れるのは当然です。初めてラジコン機を操縦する人が誰の助けも借りずにシングルスティックで飛ばそうと言うのは無謀としか言えませんね。
 さて、考えを変えて、うまく操縦するためでなく面白く操縦しようと思うなら、これは「買い」です。それに、操縦する姿が普通の送信機と違って、鉄人28号を操縦する金田少年のように見えませんでしょうか。

 最後に、模型飛行機の特質を棚に上げて、実機のように振る舞うことを善しとする考え方には賛同できません。
シングルスティック送信機を操縦する様子2。
シングルスティック送信機を操縦する様子3。

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