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 ENYA60-4Cディーゼル   2004年 10月

試運転中の同エンジン
 今年になって、ある公的研究機関の依頼を受け、自律飛行用の動力としてこれらのエンジンを作りました。
 通常のラジコン機と違って長時間連続運転しますから良い燃費と十分な耐久性が求められます。そこで丈夫なENYA60を選定しました。しかし、このモデルは現在は生産されていないのでメーカーにある在庫部品を供給してもらいました。
 ディーゼルに改造すると部品の耐久性が低下すると思われるため、力のかかる部分を作り直さねばなりません。この場合はピストン、コンロッド、クランクシャフトを新規に製作しました。

 製作過程をざっと紹介します。
 ストックパーツの動弁はステンレス合金製のため耐磨耗性を向上させるためにクロームメッキをしました。コンロッドは7075t6アルミ材から新規に製作し、大端部にニードルベアリングを圧入しました。これに伴ってクランクピンの長手寸法が必要になるためローラーベアリングのローラーを圧入したクランクシャフトを50プロダクトに依頼して製作しました。
 コンロッド大端部が太くなるのでクランクケースに逃げ溝を削りました。
 ピストンはラップタイプの物をシリンダー内径に合わせて作りました。鉄とアルミの複合材構造になっています。

クランクケースの加工

ヘッドの追い込み
 圧縮を上げるためにヘッドを削らねばなりません。すこし余分に削ってアルミガスケットを入れました。今回は燃焼室形状の変更はできません。
 エンジン開発では、部品の製作もさることながら、性能評価しながら調整しますのでエンジンを組み立てては試運転し、再度分解組み立てして手直しするといった作業が欠かせません。この夏は異常に暑かったので試験が進みませんでした。このエンジンは低気温での使用が想定されているため夏の気候で調整するわけには行かなかったのです。

 性能評価など
 真の評価は実際に飛行してみないと分かりませんが、模航研では独自に機体に搭載して飛行試験をしています。通常のラジコン機では排気がよごれるといったディーゼル特有の欠点の他特に問題ないのですが、燃費を向上させるためのキャブレターと燃料供給システムの試験はやはり専用機でないとできません。
 ただ、模型エンジン特有の単気筒での欠点も感じられます。ディーゼルでは燃焼変動やトルク変動が大きいので、この点では多気筒が有利です。
 性能的には10ccのものがAPC14-12を5700rpmで、ボアを25,8mmにアップしたものがAPC15-12を5400rpm程度です。

内部を削ったヘッド(左)

左側がクロームメッキされた弁

新規に製作したクランクシャフト(左)

ピストン-コンロッドアッセンブリ
左側が新規に作ったもの

ガスケット類

ドライブプレートには押しネジを設けた

テスト機に搭載した

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模航研  長野県小諸市大字諸308-1