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 RUPPERT10ccR/Cディーゼル 2004年 7月

エンジンの取り付け状態。ラジアルマウントは自作した。
 ネットオークションで入手した水平対向二気筒ディーゼルです。手元の文献で調べたら、これは1950年代のラジコン飛行機創成期にヨーロッパチャンピオンになったこともあるカール-ハインツ-シュテグマイヤー氏のラジコンシステムに使われていた物と同型であることが分かりました。当時のラジコンサーボは空気圧で作動していたのでエアポンプをエンジンに付けています。ドイツ製なので「ルッペルト」と読むのでしょうか。

 二気筒ながらコンパクトな設計で本体重量450gしかありません。中古品ですからリストアする前に回してみました。
 ピストンがスカスカでなかなか始動できませんでした。いろいろやっているうちに左(2番)のシリンダーが全く爆発しないので、こちらの圧縮ネジを緩めておいて、右(1番)の気筒だけで始動させてから左の圧縮ネジを締め込んで両気筒運転に移行させるとよいことが判明しました。こんな小技が利くところがディーゼルの融通性です。性能は12-6ペラ8000rpm,スローは3200rpmでしたが、始動性が悪くてとても飛ばせません。リストアするために分解してみました。

 写真のようにクランクケースの前後を一体化するためにプレーンベアリングを採用しています。後部シャフトがロータリー吸気弁になっていて確実なスロットルレスポンスをものにしています。軸受けメタル材はアルミ青銅のようです。クランクシャフトは組み立て式、コンロッドは一体型でベアリンブキャップはありません。

 調べると、やはり左のシリンダーには錆による凹みがあって全く圧縮が利かない状態です。シリンダーは焼き入れ鋼材ですからホーニングして内面を整えてからピストンを合わせます。実際に使えるようにするためには両方のピストンとカウンターピストンを作らねばなりません。このエンジンは、当時はかなり高価なものだったでしょうが、合理的な設計と堅牢な造りには感心させられます。また、オリジナルシニューレ掃気法を採用していますから、ピストンと燃焼室を作り直せばかなり回ると思われます。

分解写真。
 このエンジンをリストアしてみました。ホーニングしてみるとシリンダーにはしっかりと焼きが入っていて、ボアアウトしても硬い表面は維持されています。
今回は手堅く鉄製のピストンとカウンターピストンを交換部品として作りました。カウンターピストンをシリンダーにしっかりはめ合わせたため圧縮が戻らず、トミーバーに付けられていたゆるみ止めナットは不要になりました。

 回してみると始動性は改善されて普通に掛かりました。圧縮ネジを合わせておけば両気筒同時に爆発始動できます。グラウプナー14-11を5600rpm、スローは1800rpmでした。スロットルレスポンスや低速回転も安定しており、実用性は高そうです。ディーゼルの場合は片肺運転になりにくくエンストの危険が小さいのでこの点でも有利です。
新しく作ったピストンとカウンターピストン リストア後の試運転


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