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 サンダ−タイガーGP-07のディチューン

写真1
写真2
写真3
 ディチューンの目的は、10.000rpm以下の、スロットルヴァルヴを絞った部分負荷状態での回転安定を良くする事にあります。
 模型エンジンは多量のオイルが混入された気化しにくい燃料を使っている上に混合気を濃くして回転を下げるような設定になっているので、特に小型エンジンの場合は、冷え過ぎによるエンストと中速域におけるスロットルレスポンスの悪化という宿命があります。そこで、温度が上がりにくい低速で使う場合にはクランクケースの一次圧縮を高め、ミスファイヤーを起こしにくいように、スロットルヴァルヴでなくエンジンそのものを調整し直す必要が有ります。

 具体的には、まずシリンダーのつばの下面を削って全体を0.8mm下げます。(写真1)これでポート開閉のタイミングが低くなり、低速回転に応じた、慣性が小さい混合気の流入速度に合わせる事ができます。
 つぎに、この高さに合わせたヘッドを作ります。低速回転に適した点火時期に合わせる必要があるのですが、模型グローエンジンはプラグそのもので点火時期を合わせることができず、圧縮比が点火時期を大きく支配しています。つまり、点火時期を遅くするために圧縮を下げると今度は温度低下によるミスファイヤーを起こしてしまいます。
 これを防ぐために、圧縮比はある程度高くして点火時期だけを遅くする必要があります。燃焼室形状はピストン頂面とのクリアランスを最小にして高い圧縮比を確保し、プラグのフィラメントを遠ざけることにより点火時期を遅らせる形状になっています。(写真2)
写真の右が作り直したヘッドで、良く見るとプラグのリーチが長くなっているのが分かります。

 クランクケースの一次圧縮を高めるためにフロントエンドからの圧漏れを直す必要があります。クランクシャフトと軸受けメタルとの間には直径で0.03mmぐらいの隙間がありますが、低速回転ではここからオイルとともにかなりの圧が漏れています。そこでフロント部分のメタルを入れ替えてここの隙間を最小にします。仕上がり寸法は隙間0.01mmぐらいですが、狭すぎるとエンジンは当然回りませんし、高速では抵抗になるうえ量産工程ではコスト高になるためメーカーはやりません、
写真4 写真5
 ケースを中グリしてメタルを取り去ります。(写真3) メタルを砲金から作って(写真4,5) ケースに圧入します。その後ホーニングして寸法を出します。(写真6) 

写真6
 フロントエンドからの圧漏れがなくなるとトルクが向上すると同時に燃料の吸入が良くなって、スロットルが本来の性能を発揮し、まるで加速ポンプがついているかのような立ち上がりを見せます。


模航研ではこの改造を請け負います。加工一式、エンジンと送料手数料別で8.500円です。


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