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OS 46LA ボールベアリング仕様改造エンジン
 LA46はスポーツフライトに適する安価なプレーンベアリングエンジンですが、トルク特性がよいのでUコンスタント機に重用されています。これにボールベアリングを入れるとさらに良く回るようになります。

写真1 内開きジグはアンカーボルトを利用して作る
ベアリングにはグリスをつめておく     
 模航研ではこの改造を手掛けています。以下に、その方法を紹介します。

 まずこのエンジンに適合するベアリングを用意します。フロントベアリングは規格品が使えますが、リアベアリングは規格品を薄く加工しないとクランクケースには入れられません。内径12mm 外径24mm厚さ6mm のものを平面研削盤で、厚みを5mmまで落とします。この仕事は近所のジグ工場にたのみました。
 このままの状態ではエッジが立っているので角を削って面を設けなければなりません。研摩は旋盤にくわえてハンドリュータ−で行います。研摩場所は内側と外側に各々2箇所ずつあるので内輪と外輪をやとうジグが必要です。

 外輪やといの原理は金属の弾力を利用して品物をくわえるようにします。中心には拡張するためのテーパー棒を押し込めるように加工します。荒削りをして割りを入れたやといをチャックして、外輪の径より0.05mm細く仕上げます。テーパー棒を打ち込むとやといが開いてベアリングを入れられます。その後に棒をぬけば、ベアリングは心が出た状態でチャックされるわけです。ただし、一旦やといをチャックからはずすと2度と芯が出ないので、つぎに同じ仕事をやるにはまた最初からやるようになります。


写真2 チャックした状態でやといの
外径を削ってベアリングに合わせる

写真3 内輪の角を研摩する

写真4 外輪やといをアルミ材から作る

写真5 外輪の研摩
 部品がそろったらクランクケース本体の加工に入ります。ケースはシャフト軸受けの部分を床にしてチャックに保持します。この場合は適当なサイズのアンカーボルトが見つからなかったので、丸棒を削って内径寸法に合わせます。ゆるいと保持できないし堅いと入りません。軽い焼きばめにするために内径プラス0.01mmほど太く仕上げます。
 中グリバイトでベアリング穴をくりますが、ここの公差は0.01mm以下なので専用の栓ゲージを作りました。普通、栓ゲージはマイナス側とプラス側の寸法で用意しますが、この場合はマイナス側2種類作りました。というのは内径を計る3点接触のシリンダーゲージがないので、内測ダイアルゲージで大体削り、その後小さい径のゲージから穴に入れながら寸法の見当をつけるのです。ボアゲージは80.000円もするのでこの仕事のためだけに買うわけにはいきません。

写真6 クランクシャフトにリアベアリングを入れてみる

写真7 栓ゲージ

写真8 ケースの内径を計る。

写真9 フロントベアリングケースを鋼材から作る。

 リアベアリングの穴が仕上がったらそのままはずさないでフロントの外径を仕上げます。こうすれば後ろと前の心をそろえることができるのです。フロントの外径はすこし大きめに仕上げておいて、ベアリングケースの方をホーニングして締めしろ0.03mm
を実現させます。これができればあとはクランクケースに圧入して、長手寸法を揃えます。0.03mm程度の締めしろでは軸受け内径が細くなることはありません。

写真10 クランクケースの中グリ

写真11 フロントの加工

写真12 フロントベアリングケースのホーニング
性能評価 
 クランクシャフトにボールベアリングを入れると起動トルクが小さくなるので始動性が向上します。このエンジンは通常のボールベアリング入りエンジンに比べてもともとケースとシャフトとの隙間が小さいので、そこにベアリングを入れるとオイルの粘性抵抗が増える反面一次圧のシールが良くなるので、ニードルセットやスロットルレスポンスも良くなります。さらに今流行の低オイル燃料との相性も良くなると考えられます。

写真13  出来上がり

写真14テスト運転
 模航研ではこの仕事を請け負います。単品を後加工するのでエンジン別、加工一式18.000円(送料手数料別)ですが、同時に多数注文される場合は別途見積もりいたします。また、リアベアリングのみの加工は同じくエンジン別、12.000円でいたします。


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模航研  長野県小諸市大字諸308-1